自分達の駐車場は東富士五湖道路須走ICから以外とすぐだった。
あまっていた野原を駐車場にした感じ。ぬかるんでいる。
そこにレンタカーを駐車し、我々はコンビニで買った1000円の雨合羽を着込んだ。
それからシャトルバスにのる。チケットのチェックを受ける。
バスは普通の乗り合いバスと同じ型。
乗り込むと一気に観戦ムードが広がっていた。
人々の顔は笑顔。「ハミルトン」「アロンソ」
「ライコネン」といった言葉が飛び交う。
富士スピードウェイまでは大体15分くらい。
着くと人でごった返している。やはり赤が目立つ。
赤い帽子やウェア。シューマッハが引退したあとも
フェラーリの人気は依然として高い。
でも今回はそれ以上に白というか透明が多かった。
これは雨合羽の色である。
我々の観戦席は最終コーナー前の複合コーナーが見渡せる席。
Mという席だ。mattumのMであり、マゾのMでもある。
西ゲートから約20分歩かされる。
その前に腹ごしらえ。500円のフランクフルトと持参したカロリーメイトで。
S氏はホットドックなどを食べているが、何を買ってもしょぼくて高い。
食事関係の不充実にびっくりした。地元のお祭りじゃないんだから。
決勝には20万人近くくるということを想定しているのか疑問だ。
M席の裏の仮設トイレの向こうにはチームの荷物っぽいものがあった。こういうものにも興奮を覚える。
やっと席につけた。
このようにF1サーキットというのは席につくまでの道のりが長い。
ちなみに最前列。だけど金網ごしに見なければならないのはネックだ。
大型ビジョン(距離が遠いのでyoutube以下の小型に見えるが)も金網ごし。
土曜日11:00からの最初のプラクティスが濃霧でメディカルヘリコプターが飛べないことからディレイ(遅れ)になっていることがアナウンスされた。自分らの席はスピーカーが近くてうるさい。
根気強く待っていると、やっと始まった。
3年ぶりに聞く、F1のナマのエンジン音。本当に来て良かったと思う瞬間だ。
そしてテレビや雑誌やネットで繰り返し眺めてきた
マシンとドライバーが確かに目の前に存在して通り過ぎているということに
改めて感動を覚える。。そしてこのうえなく幸福な気持ちになる。
しかし霧が晴れないため、プラクティスはたったの4分で中止。
僕とS氏はサーキット内を散策することに。
ここには大量のバスが控えており、壮観だった。
今回は奮発して指定席を購入したので、席が確保されているという安心感もある。
サーキット内にはA・B・Cと3つの広場があり、そのなかでBが最も面積が広いようだったので、Bに行くことにした。
B。
トヨタブース周辺。
くだらない人形トーク
やらずにはおれなかった首ハメ。
Bの広場の中で良かったのは、F1体感パビリオンというやつ。
1976年か1977年に優勝したマリオアンドレッティのロータスと長谷見さんという日本人ドライバーがスポット参戦したコジマという日本製マシンが置いてあった。コジマはバスタブモノコックという方式の作り方をしていて、本当に風呂みたいだった。
ロータス
コジマ
FIAが出す公式の書類にも食いつく。
ステアリング(ハンドル)がひとりでにギアチェンジ
普通の形で面白くない日本GPのトロフィー。
パビリオンを体感したり応援グッズをもらったり、Tシャツで来たS氏があたたかいジャンバーをGETしたりで一通り満足を得たので、予選を見に席を戻ろうとしたら端っこに自衛隊募集のブースまであった。残念ながらあまり人気はないようだ。
戻って予選。霧は先ほどと変わらず出ていたが、14:00定刻で予選がスタート。サーキットはまた轟音に包まれる。どのマシンがタイムアタックしていて、どのマシンがしてないのか全然わからん。M席は低速のコーナーなのでなおさら分からない。それにしても最終コーナーは思ったよりすごい上り坂だ。これって普通に山道でよくある急カーブと同じ感覚なんじゃないかな。
Q3で琢磨が脱落。10位のタイムからどんどん落ちてって21位確定。左近は22位。日本人2人が最後尾なのが少し萎える。Q3のハイライトはハミルトン。最後の最後にトップタイムを出して、ぎりぎり通過したこと。
そしてQ2へ。Q2のハイライトは、、、特になし。
そしてQ1へ。Q1のハイライトはやはりハミルトン。最後の最後にトップタイムでポールポジション。アロンソは悔しいであろう。
あとはベッテル・バトンが良かったんじゃなかろうか。
ちなみに順位がカーナンバーで表示されるのだが、これが分かりにくかった。ライコネンのカーナンバーが6であることを今年始めて意識する。カーナンバーは途中で13が抜けていたりして本当にわかりにくい。移籍もあるし。
正直言ってQ3では眠かった。前日午前2時まで仕事をして2時間半しか寝ていなかったのだ。いつもテレビで深夜放送する予選を見ていると最後の方は眠くなるが、皮肉なことに白昼でも同じだった。
予選の写真
山本左近
ルイス・ハミルトン
マーク・ウェバー
ジェンソン・バトン
キミ・ライコネン
ルイス・ハミルトン逆転ポール獲得直後のラップ。
上の順位表示にも「2」の数字。
予選が終わるとマーシャルが竹箒にお掃除。テレビ中継では見れない場面。
観戦席の裏のパイプは芸術だ!
眠いし腹も減ったし、さっさと宿へ行こう。ということで入ってきた西ゲートから出る。すごい混雑だ。我々の駐車場行きのシャトルバスはどこだ。全然わからない。人をかき分けてやっと並ぶと違う場所行きだったりする。最後尾のプラカードがない。これが噂のトヨタの看板方式?のわりには看板がないじゃん。人の噂を頼りにしてやっと自分らの駐車場行きのバスに並ぶ。幸いにもあまり並ばずに済んでラッキーだった。
だがこの日、道路が陥没して多くの人が足止めを食ったとの報道がされている。ただただ我々はラッキーであったとしか言えない。
バスではぐったりしていた。寒さと眠さと疲れ。でも自分の中にこの疲れがいいと見る向きもある。宿の大きくて温かいお風呂のことを想像するとこの上なく甘美な気分に浸れるからだ。
レンタカーに戻ってやっと一息ついた。暖房もいれたから温かい。宿迄は約30分くらい奇跡的に近い宿が取れたのだ。宿が割と多いという点では鈴鹿よりも富士の方が便利だ。
S氏と相談をして焼き肉が食べたいということで一致した。F1を見ると焼き肉が食べたくなるという本能でもあるのだろうか。宿は素泊まりなのでまた後で出ることを想定しながら山中湖畔を走る。いい雰囲気の場所であるということが夜でも伝わってくる。そしてちょっと怪しげな焼き肉屋を見つける。
宿に着くと平野レミっぽい女将(喋りのみ)が迎えてくれた。よく喋る人だ。予約する時点からよく喋ってたし。個人経営っぽい宿なんだが、一階の天井がすごく高いし意外と豪華。だけど個人経営の域を出てないといった宿。僕は上出来だとおもったが、S氏は温泉が良かったらしい。まあ我慢だ。
部屋で一休みしてから目星をつけた焼き肉屋へ向かう。車から降りてみると先ほど走りながら見るより、全然立派だった。食卓がやたらでかい。本格的に韓国の雰囲気。冬のソナタのでかい写真もある。「灰皿」という言葉も分からない人が働いている。きっと今日から働き来始めたんだろう。ということにしておこう。ビビンバがうまくてむさぼるように食べた。腹が減ってたのと相まって。
コンビ二に寄り、宿に帰る。先ほど入れていた駐車場が埋まっており、ちょっと変則的な場所に入れる羽目になったのだが、これが後で命取りになってしまった。そうなることも知らずにうまかったビビンバの余韻に浸りながら、部屋に戻り、風呂に入り、テレビをちょっと見て消灯。昨日あまり寝れなかった恨みをはらすがごとく21時半には寝た。こんなに早く寝るのはいつぶりだろう。ちょっと思い出せない。
起きると雨。しかも昨日より激しい。ちょっと憂鬱だったが、レースさえ中止されなければ良い。朝ご飯が宿の好意でついたので有り難く食して出発。午前9:00くらい。
昨日入れた変則的な駐車場から車をバックさせると、ガリガリという音が!S氏に見てもらうと、バンパーが花壇兼低い壁みたいな物体と接触しているらしい。S氏の指示のもと車を少し前に出すと再びガリガリという音が響く。社内に響くバンパーがこすれる音は結構怖い。まるで車全体が壊れてしまいそうな音。ドラクエでいうと毒の地帯だ。S氏が2〜3回バンパーを叩いて「よし!」と言った。バンパーがハマったようだ。ハマったということは外れたのか?思ったよりやっちゃったかもしれない。でも見た感じバンパーの下の方が削れただけで、あまり問題であるようには思えない。自分の車だったら2回くらい風呂に入れば忘れるレベルであろう。僕とS氏はやっちゃったね〜的に顔を見合わせて、すぐ出発した。
昨日と同じ駐車場で、昨日と同じように雨合羽を着込む。雨は昨日より降っている。車も昨日よりぐっと増えている感じ。まだ9:30くらいなのに。シャトルバスでは座れたので、15分間夢の中へ行き、時間をショートカットした。
サーキットに着くと我々はAブースを冷やかし程度に見に行ったが、早くしないと12時のドライバーズパレードに間に合わなくなってしまうので、すぐにM席へと向かう。
A。
ホンダの歴代マシン。
ホンダ今年のアースカラー。滅法遅いマシンとして記憶に刻まれることになった残念な奴。
マクラーレン。今年のいわくつきナンバーワンマシン。
M席へ向かう。特に意味なし。
雨はずっと降り続いている。雨合羽を着ていても傘が欲しいと思うこともあるものだ。
M席に戻ってきた。このちっこいスペースが4万円です。
ドライバーズパレードは一台のトラック上に全ドライバーが乗る形だ。鈴鹿のように、クラシックカーの上にチーム別に乗り込む形ではなかった。クラシックカーの方が、一チームずつドライバーが見れて良かった。トラックの良さは人間関係が見れること。気になるのは我らが佐藤琢磨の全ドライバーのなかでのポジショニングである。この瞬間、サーキット中の日本人が佐藤琢磨の親のような心境になる。ウチの子はみんなと仲良くしているかなって。とりあえずチームメイトのデイビッドソンとは中がいいみたいです。でも琢磨ってヨーロッパじゃなくても一匹狼っぽいな。感じの良い一匹狼。
↓拡大
嵐の前の静けさ
書いているうちに一週間以上経ってしまったのでだんだんと忘れかけてきたが、次は元LUNA SEA河村隆一氏による国歌斉唱。起立させられる。スピーカーからはやや酔った感じの君が代が流れてきたので普通だったが、本人が歌っていたメインストレートあたりではトヨタがエンジンを動かしていて、かなり元LUNA SEA河村隆一氏に失礼な感じだったらしい。
レースはセイフティーカー先導によるスタート。
雨と霧がまだ止まないからだ。不思議なのは昨日のプラクティスはメディカルヘリが霧で飛べないという理由で延期していたのに、予選と決勝は霧があろうと定刻通り始まったこと。まあ、サーキットまで見にきている者からするとその方が助かるけどね。
17周目からセイフティーカーがピットに入り、本格的なスタート。猛獣が檻から放たれた感じでうなりを上げて走り出した。
もうあとは口を開けて見るばっかり。
M席ではハミルトンとクビサのからみ、ウェバーとベッテルの接触、アロンソの単独スピン(すぐ回復)が見れてなにかとおいしかったです。特にウェバーは目の前でマシンを降りたのが見れた。2位を走っていたのに、すげーかわいそう。ウェバーとベッテルの接触は後々ハイミルトンも巻き込んで一悶着あったのですが、自分は目の前で見てました!と自慢できます。だけど気がついたらああなっていたので、全然状況を説明できません。ハミルトンは確かに急ブレーキを繰り返していたけど、その周だけじゃなかったからな。
終盤、F1で一番おでこが広いコバライネンとライコネンのフィンランド人同士の2位争いが見応えあった。
決勝の写真。
ニコ・ロズベルグ。ケケの子ニコ。
佐藤琢磨。後姿は水しぶきでほぼ見えない。
セイフティーカーのあとはマクラーレン1-2。
ロバート・クビサ。
プリンからフェラーリ。
カメラマン専用のシャトルワゴンからカメラマンが出てきては目の前で写真を撮る。
マーク・ウェバーのリタイヤ一部始終。
そしてハミルトンが勝つやいなや、ウィニングランも見ずに席を立つ。もちろんバスに乗るためだ。従ってクビサとマッサの最終ラップの激しい争いを見ることができなかったと思う(記憶にない)。しかし早めの席立ちはそれを犠牲にするだけの価値がある行為だった。
帰宅を急ぐ群衆は列をなしてバス停へ向かう。するとまだ出口に着かないうちに変な方向に群衆が向かっている。自分たちも流れに任せて行ってみると仮設の柵から易々と外に出てる!しかも出たところが我々の駐車場に向かうバス停ではないか!これは一石三鳥くらいの価値があるぞ。すごいラッキーだ。
柵から出るという行為は、水の入ったビニール袋に穴があいていれば漏れるのと同じ位自然なことだ。そして富士スピードウェイの外壁はビニール袋の様に手薄だったということだ。これはすばらしいことである。来年は入場券買わなくていいじゃないか。
そしてバスに並ぶ。
まだまだサーキットには人が。
我々は並び始めて3台目くらいのバスに乗ることが出来た。しかも座れたので、駐車場まで睡眠により時間をショートカット。
レンタカーに戻ってやっと一息ついた。暖房もいれたから温かい。ビッショリ濡れた靴下を脱げたのが心地よい。そして帰途につく。そこから東富士五湖道路須走ICまでは全く混雑なし。これは鈴鹿と比べると信じられない程良い。鈴鹿では渋滞を抜けるのに軽く2時間はかかっていた。おまけに抜けたところでそこは三重県。そこから東京まで走るのかと思うと絶望的な気持ちになったものだ。それが富士は2時間もあれば家につけるだろう。
高速はものすごい霧で先が見えず、危険だった。F1パイロット達はこういう中を時速300キロで走っていたと思うと本当にすごい。
都内に着きガソリンスタンドを探しまわる。全くない。都会の人は一体どこでガソリンをいれてるんだ。ついに借りた場所代々木に来てしまい、泣く泣く通り過ぎる。そのまま神宮、青山に来て渋谷でやっと見つけてガソリン注入。やっと代々木のレンタカー屋へ戻す。
今朝、宿を出るときにつけた傷のところを係員がじっとみている。やばい、ばれたか。中で衝撃的な値段を聞かされる。これだけの傷で70000円!保険をかけていたので20000円まで下がるところが、事故証明がないためにその保険が利かないとのこと。一体何の為の保険だったのやら。事前にきちんとした説明もしなかったくせに。顔面蒼白になって係員を問いつめた「あんなのかすり傷じゃないか!」。全く納得がいかない。あんなくらいで誰が警察に届けるかっ!事故だと思う訳ないじゃん!僕は全然払う気になれなかったが、S氏の方でさっさと払ってしまったので仕方なく引き下がる。S氏は折半にしてくれたので有り難かった。高い授業料だったが仕方ない。気持ちを切り替えよう。しかし我々に70000円と告げたあの従業員の顔は一生忘れん!