【水曜日】出勤する為に原付に乗り、最寄り駅周辺の駐輪場に停める。
夜、乗って帰ろうと思い、カギを探したが、ない。
原付にキー差しっ放しで行ってしまうことがたまにあるが、
今回もそれかな〜と思い、原付を見るが、ささってない。
ということは、鍵は別件でなくしてしまったということか。
仕方なく歩いて帰った。
【木曜日】スペアのキーを持って出勤。
鉄道会社や交番などに鍵の紛失を届けたが、見つからない。
家の鍵もついているので見つかって欲しいのだが。
帰り、スペアキーで原付に乗ろうと思ったら、原付がない!
その瞬間、やっぱり鍵は差しっ放しだったから、誰かに抜かれて、
時間差で盗まれたんだ! という推論が立った。
多少パニックになりながら、即刻盗難届けを出しに警察署に向かう。
向かう途中、奥さんに盗まれたことを報告すると、
「違法駐車で撤去されたんじゃないの?」
と言われ(なるほど、その可能性もあったか)と、
盗難届はとりあえず出さずにその日は帰宅する。
【金曜日】朝、再度置いていた場所に行き確認したが、撤去したという貼り紙などはない。もちろん原付もない。やはり盗難だと再認識する。
その夜遅く、盗難届を出すために警察署に入っていくと、そこにいた警察全員に顔を見られた。たじろぎながら、盗難届けを出しに来た旨を話すと、全員安心したような顔をして、対応してくれた2人を除いて、それぞれの仕事に戻った。警察の対応は、想像していたよりも好感触だった。まず盗まれた位置を地図で確認して、その地域担当の交番勤務の方を呼ぶことになりつつあった。しばらく待っていると、やはり車両番号がわからないので、調べてから再度来てくれ、ということになった。ナンバーは持っていったのに、ダメなんだ。警察データベースとかないんだ。「市役所に聞けばわかるから」と言われたが、警察署ではわからないのね。
【土曜日】よく寝る。
【日曜日】実家に帰ると、車両番号が記載された保険の書類が発見されたので、持って帰る。
【月曜日】会社帰り、車両番号を携えて改めて盗難届を出しにいく。
金曜日とは別の人が対応してくれ、盗まれた経緯を全部話す。
大学ノートに鉛筆で全てをメモっている。
彼らは拳銃も持っているが、鉛筆も持っているのか。経緯を話す際、
「一回鍵を先に抜き取られて、その後改めて原付を盗まれたと思う」
と言ったら、これは言下に否定された。
「そういう盗難はまず、ありえない」と。
確かにそうかもしれない。犯人は二度と現場に現れないということか。
そうなるとやはり鍵は別件で無くしたのか・・・。うーん。
他にも根掘り葉掘り聞かれ、勤務先と勤務先の電話番号まで。
途中で犯人気分になってくる。
ともあれ、盗難届を出すと少し気持ちが軽くなった。
でもまず見つからないだろうな。8年も乗ったし、仕方ないか。
と気持ちの整理がついた。盗難届にはそういう効果もあるのか。
【火曜日、水曜日と過ぎて、木曜日】
夜、知らない番号から電話がかかってきて、出てみると交番の方だった。
「mattumさんの携帯でしょうか?○○警察者のモノですが」
聞いた瞬間(あ、見つかったんだ)と直感し、実際その通りだった。
その日のうちに取りにいくことを約束し、会社を引けてから取りにいった。
それにしてもたったの4日足らずで見つかるとは。
盗難届は思ったより効果あるな!
取りにいく交番は自宅から歩いて20分くらいのところだったが、盗まれた場所とは反対の方向だった。それでもせいぜい半径5キロ以内の話。やっぱり近くで見つかるものなのだな。
交番につくと、二人の警官(中年と青年)が迎えてくれた。さっそく原付の確認をするために交番の裏にまわる。おお、あった! 感動の再会だ。変わり果てた姿・・・という程ではなかったが、ナンバーが上向きに曲がっている。これぐらいなら、想定の範囲内。(←言ってみたかっただけ)
中年の方の警官がスペアキーを貸してくれというので、貸すと、ささるかどうか確認している。
「やっぱり鍵は壊されていないね。鍵差しっぱなしにしてた?」
と聞かれ、その可能性はあるがはっきり覚えていない、と答えた。
届けた時もそう言ったのだが、その可能性はないと否定されていた。
いずれにせよ、鍵を差しっ放しにした自分が悪い。
中年の方の警官によると、鍵を差しっぱなしにした場合、盗難であってもその原付が何かコトを起こしたら(例えばその原付でひったくりをやったり)、賠償責任が半分あるとのこと。被害者でありながら、加害者になってしまう。こわいこわい。見つかって良かった。
ヘルメット入れを見てみたらビックリ。空っぽだった。ヘルメットより、ジャンパーより、手袋が惜しい。結構いいやつだったのだ。
原付確認後、2種類の書類に署名をする。犯人や見つけた場所を聞いてみたが、この交番の近所で見つけたというだけで、詳しくは教えてくれない。被害者が実力行使で報復に出たら警察の仕事が増えるだけだからだろうか。
それにしてもヘルメットがない。警察に貸してくれと頼んでみたが、ないというので仕方なく押して帰る。重い。乗っちゃおうかな…。キーをオンにすると、ガソリンが満タンであった。これを見て、犯人はこの原付を乗る気満々だったことが分かる。
【土曜日】交番で警察に進められた通り鍵を取り替えにいく。狭い範囲での出来事だし、キーは握られているし、またやられる可能性が高いとのこと。ちょっとお金はかかってしまうがしかたない。新しい原付を買うよりは全然安い。